駒沢の“現地視察”

【写真_35】(クリックしてください)

 

みなさん、おもしろがっていただけましたか?

 

なかには私のやりかたに影響されたのか、

「期待以上の答え」にこだわる方がいらっしゃって。

 

たとえば・・・

 

 女が鍬で農夫を殺す

 馬が鞭で土を耕す

 漁師が花瓶で魚を取る

 騎手が網で強盗を駆る

 

ま、「馬」が自ら「鞭」を使い、しかも「土を耕す」ことはないと思います。

ただ「漁師」が「花瓶」で「魚」の話はありそう。

「女」が「殺す」のではなく、「農夫が鍬で女を殺す」の方が現実に近いかも・・・

・・・なんて、私はなにをやってるんだ。

 

ただ、この方はおもしろくて

前々回の“宿題”にも反応されました。

 

U先生、いかがでしょうか。

ちなみにこの方、2人の子育てに奮闘中の母親です。

 

① ぎりぎりのところで、

 (オムツからウンチが漏れるのを防げた。 )

② 私に言わせれば、

 (よかれと思ってオムツのサイズを変えたところだった。 )

③ つぎからつぎと、

 (やることだらけ。ミルク、オムツかえ、洗濯。とくに最近キツイのは上の子の公文の宿題を見ること。彼は回答用紙にドラえもんを描きだす。)

④ 先ほどから、

 (上の子が「おかぁさーん」と呼ぶ声がする。「何―??」と返すが )

⑤ はっきりしないので、

 (行ってみる。 )

⑥ いつの間にか、

 (押入れの中へ隠れ、隙間からニヤニヤ。ドラえもんになったつもりらしい。 )

 

 

なんだか主旨が違ってきたようで。

みなさん、ごめんなさい。

 

 

さて本題に入ります。

 

3月も終わりになると、がぜん慌ただしくなってくる。

“言語”の宿題は着々と進化(?)していくと同時に、“右足”と“右手”のリハビリにも気合いが入るのだ。

 

特に“右足”。

理学療法士のH先生は、顔つきが変わった。

 

それまではリハビリの最中に、

「好きなアイドル」の話とか、

「今度の休みにおばあちゃんの家に行く」とか、

20代前半の女性ならではのおしゃべりを聞いていた。

それがなんとも心地よかった。

味気ない入院生活の中、

そこにパッと花が咲いたような時間が楽しみだった。

 

だけど退院まで2カ月ちょっと。

H先生もまた、U先生と同じように

いろんなチャレンジを開始するのだ。

 

まずは“現地視察”。

 

3月29日。

車椅子から解放されてちょうど20日。

 

解放されたといっても、

まだ看護師さんの監視(付き添い)付きの私が、“現地視察”。

つまり自宅に一時的に帰るのである。

 

 

病院の外に出る、なんて初めてだった。

 

原宿から駒沢まで、クルマで運んでくれたのは“社長”である。

勤め先の(株)セイファート・長谷川代表だ。

 

クルマには装具をつけた私と、

作業療法士のY先生、

理学療法士のH先生が乗り込んだ。

 

 

自宅では主に“バリアフリーの有無”が確かめられたが、

現状を見て2人の先生はため息をついたのではないか。

とにかく自宅は“階段”と“段差”の宝庫だった。

 

まずは玄関にたどり着く前に8段の上り階段。

 

中へ入ると上と下に向かってまた階段。

 

“猫の額”というより“まぶた”ほどの狭い敷地に半地下一階、地上二階。

バリアフリーにはほど遠いつくりである。

 

もちろんトイレにも浴室にも段差。

 

私は階段を上へ下へと上り下り。

もちろん一段ずつ。

しかも2人の先生が私を支える。

狭い階段の中、懸命に支える。

そうしながら、先生方は今後の計画を立てていたに違いない。

“復帰はたいへんなことだぞ”と。

 

私もそう思った。

“自宅に帰るのは想像以上にたいへんだぞ”。

 

翌日から、H先生は勧めるようになった。

一度ではなく、何度も。

 

「岡さん、引っ越すつもりはありませんか?」

 

先生は言うのだ。

もっと住みやすい家、

たとえばアパートの1階に引っ越す。

そうすれば復帰も容易になります・・・。

 

たしかに。

 

だけどそのたびに私は答えた。

 

「いや・・・あの家に・・・復帰・・・します」